細井研究室

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表現のビジネス ~コンテント制作論~
浜野保樹 、東京大学出版会、2003年

映画を題材に、特にハリウッドモデルを例にして映画制作の時間軸に沿いながら(目次参照)体系的にコンテントビジネスを説明している。その際、データや文章の引用が多数あるが、出典を明示して掲載しているため興味・疑問を感じる内容の理解を深めることが可能である。ずばりコンテントビジネスのポータルサイトである。それもそのはず、この本の制作動機が大学の授業の参考書を作るということであったのである。初めてコンテントビジネスを勉強する方も、ビジネスに携わり知識を体系化したい方にもお薦めの一冊。

 

コンテントビジネスの特徴には以下のようなものがある。権利ビジネスであり著作権の保護や流通のしくみが重要である。また、市場予測がつきにくく10本の映画のうちヒット作は1本と言っていいくらいである。限られた予算、期限、という枠組みの中での芸術性を持つという仕組みでもある。これについては作家の経済的自立と創作上の自立について考察を行ったわが国初めての試みとして「『玉あられ』のあとに」という冒頭の島崎藤村のエピソードが印象的である。その他多数の特徴があり、また上記のそれぞれについても掘り下げて論じている。このようなビジネスを成功させるためには資金回収の仕組みをディベロップメントやプリプロダクション時に構築することが必要であるが、大物の作者でないとプロダクション前の契約は難しい。

 

全体的に文章の表現で映画の例を用いているため映画通ならば直感的に理解できる文体であろう。例えばハリウッドでは制作費が膨らんでしまった時の解決方法に「クレオパトラ手法=制作を継続して成功を祈る」、「地獄の黙示録手法=コントロールを試みて封じ込め体制を作り超過額を最小限にする」、「クィーン・メリー手法=資金を止める」などと分類している。また読み進めるうちに思い出の映画の裏話に「へぇ~」とうなずいてしまう楽しみもある。


目次

第1章 コンテントのコンテンツ
第2章 企画開発
第3章 プリプロダクション
第4章 プロダクション
第5章 ポストプロダクション
第6章 マーケティング
第7章 流通
第8章 公開
第9章 消費
第10章 アーカイヴ
第11章 人材と研究
第12章 文化の産業化



(文責・大山)

 

 

 

 

 

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