細井研究室

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『記憶のゆくたて - デジタル・アーカイヴの文化経済』
武邑光裕、東京大学出版会、2003年

デジタル・アーカイヴとはなんだろうか?現代の情報メディア環境において、未来に 向けて膨大に記録、集積される情報、知識、そして時の叡智と呼ばれる無数の声、文字、映像が辿り着く 記憶庫である。


記録によってアーカイヴ化された情報や文化が人々との共感・経験によって記憶として伝承され、今もなお進化し続けている。外在化された記憶そのものは意思を持たず、各個人がデジタ ル・アーカイヴに堆積した記録にアクセスし、ストックとフローを繰り返す過程の中で、記録から派生した記憶は未来へと紡がれている。すなわち、サイバースペース上で固定化されていた文化資産を流動化し、他の情報と参照させ、新たな翻訳と解釈の活性化を生み出していく。

書名にある「記憶のゆくたて」とは、記憶の「成り立ちと行方」、流動する記憶の 「流れと方向」を意味する古語に由来しており、本書では古代の図書館ムセイオンなどにまで振り返り、記憶の外在化である記録として存在するアーカイヴがデジタルと出会い劇的な変化を遂げる推移が考察できる。そして話 題は日本におけるアーカイヴの歴史学の道筋をたどりながら日本の記憶の原像に踏み込んでいく。そこ から浮上するものは、我々が忘却の中で見過ごしてきた記憶に関わる意識の壮絶な営みであった。

筆者の国内外かかわらずの豊富なデジタル・アーカイヴ事業の関わりもあり、細かな実例から発想した 記述はメディア環境学という新たな領域の開拓と、未来に向けたアーカイヴ環境を考えるヒントが盛りだ くさんである。

【目次】
まえがき―森と砂
第1章 記憶の外在―デジタル・アーカイヴとは何か
第2章  記録というスペクタル
第3章 占有と共有―ムンダネウムをめぐって
第4章 文化記憶の社会資本
第5章 電網の中の 文化経済
第6章 離散するアーカイヴ―京都ブランドと文化経済
第7章 米国の 文化情報基盤― 情報スーパーハイウェイにおける人文科学と芸術
第8章 インターネット・アーカ イヴの挑戦―デジタル情 報の記録と記憶
第9章 記憶のゆくたて
第10章 記憶の編纂と反転
終章 結 紮のデザイン

 


(文責:大山)


 

 

 

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