遊び/ゲームに関する社会学的考察と要素分析手法の検討
 GO Back / Report

〜05/NOV/1998
.
福井・伊豆田の両名が各自の研究スキームを発表の後「テレビゲームの要素分析」という所までを合同で行おうという見解に達した。
最初に行ったのは、世に出ている「遊び」についての文献を通読しそれをテレビゲームの要素分析に当てはめられないか という試みである。ロジェ・カイヨワの「遊びと人間」などを参考にテレビゲームの要素抽出を試み、11/05の研究会で発表した。結果は、モデル概念の提示がうまくいっていなかったせいか、要素抽出に一層の努力を求められることとなる。また、その中でG・ベイトソンという人文学者の「論理階梯」という考え方を参考に、従来の「遊び」とテレビゲームに、どのような差異が認められるかを考察(モデル作成)してはどうかという意見が挙がる。
.
予定と課題
・モデル作成のために使えそうな文献を通読する
・テレビゲームをどの様な方向から焦点を当て、どの様な要素を研究するか決める
・テレビゲームの要素分析を従来の「遊び」の分析とは切り離して考えてみる

〜26/NOV/1998
.
従来の「遊び」とテレビゲームの違いを見つけるべく、約50タイトル以上のゲームに実際に触れてみたが、決定的な要素分類法を発見するに至らなかった。そこでまず、テレビゲームという遊びのモデルを作成する事に方向転換し、マンガ学など様々な他の事例に当たった。外界・テレビゲーム世界・プレーヤーという分類と、テレビゲームを構成するシステム・ストーリー・インタラクションという分類に分けるモデルは賛同を受けたが、それぞれの関係性や位置については検討の余地があるという指摘を受けた。
今後の方針として、テレビゲーム世界の中の要素分析のみか、テレビゲーム世界と外的世界との関連に着目するか、焦点を絞った分析研究を行うを決めねばならない。また他の分野(音楽・映画)などで既に洗練されたモデルがないか、文献を漁る必要がありそうだ。
.
予定と課題
・テレビゲームをどの様な方向から焦点を当て、どの様な要素を研究するか決める
・他のメディアや世界のモデルの要素分析について調べる
.
参考文献
 ・スコット・マクラウド「マンガ学」美術出版社 岡田斗司夫訳

〜17/DEC/1998
.
テレビゲームの要素分析に至る経緯として、テレビゲームという遊びのモデル検証を進めている。前回の研究会で頂いた意見を踏まえ、テレビゲームで遊んでいる状態(以下テレビゲーム世界)と、その状態の意味モデル・影響モデルを考えた。また、メディア学から見たマンガの分析を行っている「マンガ学」を、テレビゲームへ応用できないか検証してみた。研究会では、テレビゲーム世界におけるプレイヤー・テレビゲーム・制作者の位置づけに関する点、テレビゲーム世界の意味モデルに関する点、マンガ学の要素をどうテレビゲームのボキャブラリに翻訳するかという点について意見を頂いた。特に、同じ日にあった第三回ゲームサロンで話された、テレビゲームの面白さとは何かというモデルとの比較や差異についての意見が印象的であった。
今後の方針としては、テレビゲーム世界の枠組み(プレイヤー・制作者の位置づけ)について再検討する。更にそれを元に、テレビゲーム世界の意味モデル・影響モデルそれぞれに関して、更に深める事となった。1月末までに、一応の分析結果やテレビゲームでの遊びのモデルを出したいと考えている。
.
予定と課題
・テレビゲームの遊びや、テレビゲーム世界のモデルに関して深める
・他のメディアや世界のモデルの要素分析について調べる
・1月末までにβ版の分析結果を出し、
 2月からは各自の関心に合わせた研究をする。
.
参考文献
 ・スコット・マクラウド「マンガ学」美術出版社 岡田斗司夫訳

〜17/FEB/1999
.
研究会では、前回の意味モデル・影響モデルから考えて、人がゲームを面白いと感じる要素として感情と感覚、つまりあたまとからだの2つの側面から面白さを感じているのではないかという意見をまとめて述べた。また、感情・感覚に関する心理学・医学関連の研究の紹介に対しては、今後更に深めて貰いたいという意見が出た。更にデータベースの項目に関連した提案に対しては、田口さんの「ゲーム図書館」と平行して進めるのが妥当であろうという見解でまとまった。
今後の方針としては、福井・伊豆田は各々の研究テーマに別れ、深めていく事となる。福井はゲームの影響モデルを深め、エデュテイメントとの関連で深めていく。伊豆田はゲームの意味モデルを深め、新しいジャンルの概念とデータベースの項目について深めていく。
.
最後に
・福井:「テレビゲームの影響要素」というテーマに沿って、今回提示した感情・感覚に関する知見を深め、合わせてそれを教育という側面に利用できるものにする
・伊豆田:「テレビゲームの構成要提示した要素項目をさらに深め、併せてそれをGAP:ID・ゲームアーカイブに利用できるものにする
.
参考文献
 ・「週刊ファミ通 各号」アスキー 
 ・「季刊ユーズドゲームズ 1〜9号」キルタイムコミュニケーション
 ・「imidas'99」集英社編
 ・その他ホームページなども参照(研究報告PDF書類リファレンス項参照)

 GO Back / Report