エデュテイメントフォーラムレポート【奥村】

 3月29・30日の両日、京都リサーチパークにて行われたエデュテイメントフォーラムにテレビゲームにおける教育的要素の抽出を目的とした「ファミコンタイムマシン」というブースを出展しました。29日は雨の降る中、30日は肌寒い中、多くの方においでいただきました。
 私たちは、テレビゲームのソフトに教育への利用の可能性はないのだろうかと考え、ゲームテレビゲーム、特にファミリーコンピュータのゲームソフトにおける教育的要素の抽出を試みたいと考えていました。エデュテイメントフォーラムに出展する機会をいただけたので、この出展で簡単な実験を行うことにしました。

 まず、はじめに、GAPにあるファミリーコンピュータのソフトを実際にやってみて、教育的要素が含まれると思われるものを検討しました。また、遊びの要素についてロジェ・カイヨワの研究を参考にしました。ロジェ・カイヨワの研究で遊びの範疇とされている競争(アゴン)、偶然(アレア)、模擬(ミミクリ)に注目しました。アゴンは競争の形を取る遊びを示しています。アゴンの遊びには、スポーツやチェス等があります。アレアは偶然の気まぐれに左右される遊びを示しています。アレアの遊びには、さいころやドミノ等があります。ミミクリは自分とは違う人格を演じるような遊びを示しています。ミミクリの遊びには、ごっこ遊びがあります。それぞれの遊びの要素に照らし合わせ、アゴン・アレア・ミミクリの要素を持つソ

フトを選び出しました。アゴンの要素を持つソフトとして「ドンキーコングJr.の算数遊び」、アレアの要素をもつソフトとして「ちびまるこちゃん」、ミミクリの要素を持つソフトとして「大航海時代」を選び、ブースに設置することにしました。「ドンキーコングJr.」については、対戦を通して算数の四則演算を勉強でき、「ちびまるこちゃん」にはすごろくを通して、清水市の地理といった地域社会の学習につながり、「大航海時代」はシミュレーションを通して世界地理や貿易の概念の勉強になると考えられました。
 当日、私たちの心配をよそに、任天堂64やドリームキャストといった新しいゲーム機が設置されたブースと同じくらいの人が集まってくれました。ブースを訪れてくれた中で一番多かったのは小学生の男子です。保護者の方も、懐かしい・こどもと一緒に、と実際にファミコンを体験していただきました。3本のソフトのうち、一番人気があったのは「ドンキーコングJr.」でした。これは私たちが考えていた予想のとおりでした。「ちびまるこちゃん」「大航海時代」はゲームに時間がかかるなどいった面もあり、人気がありませんでした。一番人気のあった「ドンキーコングJr.」では92人、「ちびまるこちゃん」で41人、「大航海時代」で42人の方にアンケートに答えていただきました。私たちが、アンケートとは違うところで関心を持ったのは多くの保護者が関心を示されていたことと、こどもの「もう一度やりたい。」という声が多かったことです。

1(次ページへ続く)

  GO Back / Lecture