ゲームぷらぷら2 セッション1
「アーカイブとコミュニティ 〜ネットワーキングとしての可能性〜」
【寺尾】

 「game++2」は全部で3つのセッションで行われ、各セッション毎に2000字程度でレポートしています。各セッションはそれぞれ、セッション1「アーカイブとコミュニティ 〜ネットワーキングとしての可能性〜」、セッション2「遊びとインタフェース〜インタラクティビティとしての可能性〜」、セッション3「ゲームと社会〜アカデミズムとしての可能性〜」という構成で行われました。

■セッション1について

 セッション1はアーカイブとコミュニティに関して研究しておられるもしくは活動しておられる先生方によるシンポジウムでした。東京大学大学院助教授の武邑光裕助教授、京都精華大学マンガ学科の牧野圭一教授、青空文庫を主宰しておられる富田倫生先生の三名の方にパネラーをしていただきました。

■牧野先生のお話

 機材関係のトラブルが起きたため予定とは異なり牧野圭一教授のお話からセッション1が始まりました。牧野教授は日本で初の大学の漫画学科をつくられた先生です。漫画、アニメーション、絵本、ゲームなどは社会的に大きな影響力をもつものであるのにも関わらず文化としての研究がほとんど行われていないことを指摘されました。しかしこれからのITのなかで漫画やアニメ、ゲームといったも
のは大きな意味を持ち、それはペットや介護といった世界にまで広がっていくだろうと述べられました。そのような中で広大に広がった漫画などのアーカイブをどのようにすべきかということに関しても、漫画に標識としての四字熟語つけることにより抽出して使えるようにし始めていると話されました。

■富田先生のお話

 次は著作権がきれた文学作品等をデジタルアーカイブしている青空文庫を主宰している富田氏のお話でした。その中でデジタルアーカイブすることにどのような意味が生まれたかについて述べられました。それは最初電子図書館を作るといっただけのところから視覚障害者の方のために文学作品をコンピュータを使った朗読をするために用いられること、また文学作品中にあるJIS第一、第二水準の漢字以外が集まることによってJIS第三、第四水準を作ることに役立つなど最初に考えていたことは異なる新たな意味を生み出したことです。これは私たちが抱いていたデジタルアーカイブをすることにより何か新しいことが出来るか、意味があるのかという問いに対する大きな答えとなりました。また富田氏は青空文庫の目的と作業の手順を文章化してマニュアル化したものを公開していただけで共感する人々の協力が三百人以上も集まり今の様な成功にいたっていることも私たちゲームアーカイブ・プロジェクトにとって励みとなることでした。
1(次ページへ続く)

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