ゲームぷらぷら セッションA その1
 インタラクティブメディアとしてのテレビゲームとその可能性
【福井】

 「game++」のメインイベント、セッションA「インタラクティブメディアとしてのテレビゲームとその可能性」のレポートです。

■レポートの概要

 このセッションAは、福祉・教育・芸術・文化など各分野においてテレビゲームを始めとするインタラクティブメディアを対象、題材、あるいは背景として研究を進めておられる4人の先生方によるシンポジウムでした。
 パネラーの先生は、慶応義塾大学環境情報学科の大岩元教授、京都精華大学漫画学科で漫画家の牧野圭一教授、編集工学研究所の太田裕之研究員、モデレータであるインターメディウム研究所(IMI)の野々村文宏先生の4名です。
 シンポジウムは、前半は各々の研究分野・内容についてのプレゼンテーション、後半は前半を踏まえ異なった立場や視点からのディスカッションという流れでした。私は前半の先生方のお話について書きたいと思います。

■野々村先生 ゲームの社会的認知のされ方について

 まずモデレータである野々村先生のお話から幕が開きました。野々村先生は、GAPの共同研究メンバーであるIMIの先生で、去年の6月頃まではGAPのルームで共にディスカッションしていた方です。 話された内容は、日本でゲームに対する認知が狭い範囲でしか行われていな
い事への危惧と、ゲームアーカイブの必要性についてでした。
 ゲームが産業とスキャンダルの2つの視点でしか評価されていないと述べられ、成熟した文化への発展にはAFI(アメリカン・フィルム・インスティテュート)の様に自由に使えるアーカイブが必要であり、GAPに期待したいという嬉しい言葉を頂きました。

■牧野先生 漫画という文化の研究について

 続いて、牧野先生にバトンが渡されました。牧野先生はゲームと同じく日本の新しい文化・芸術である漫画を社会的視点から捉えられている方です。
 先生が1999年7月から主催されているマンガ研究会には、GAPのメンバーも見学に行きました。
 内容としては、漫画・テレビゲームの文化としての社会的認知の遅れや、この様な新しい文化の研究がなされていない事の指摘でした。漫画・テレビゲームは、サブカルチャーから始まった文化・社会的な事象が拡大した為に、理解が必要になった文化であるという共通点があり、その研究は立ち後れています。漫画やテレビゲームはその定義すらなされていない事や、最も基本的なキャラクターという切り口ですら研究が少ないのが現状です。
 この荒唐無稽の文化を理解する事が社会の本質を捉える可能性があるのではないか、という牧野先生の言葉は、私もGAPに関わる中で考えていた事である為、大変共感するものがありました。
1(次ページへ続く)

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