第4回ゲームサロン 『テレビゲーム産業の現状と展望』
講師 (株)マルチメディア総合研究所主任研究員 矢田真理氏
【伊豆田】

 1999年2月22日、京都リサーチパークセンターにて京都府主催の第4回ゲームサロンが開かれました。 今回のゲストは、(株)マルチメディア総合研究所主任研究員の矢田真理さんでした。矢田さんは、「ゲーム立国の未来像」の著者で、「新規成長産業(企業群)」の調査の一環として、テレビゲーム産業に焦点を当てて調査研究を行っておられます。

■「5つの転換点とその実際」

「テレビゲーム産業の現状と展望」をテーマとして、テレビゲーム産業の過去・現在・未来についてざっくばらんにお話を伺いました。  まず、矢田さんは、著書「ゲーム立国の未来像」で指摘したテレビゲーム産業が迎えている5つの転換点と、現状における実際について紹介されました。
 転換点は以下の5つです。
「1」ハードメーカー三つ巴の戦い→ハード市場が競争的に
「2」ソフトメーカー主導の時代がきつつある
「3」流通革新
「4」パソコンソフトの台頭
「5」ハード、ソフト両方から利益をとれるビジネスモデルへの転換期だろう
 しかしながら「5」を除外して、その後の実際の動向は予測とはことごとく違ったものになっている。
 実際には、
「1」日本においては任天堂一極がSCE一極になった。
「2」ソフトメーカー主導にならず。
「3」SCE流通でも在庫問題は解決せず。
「4」パソコンソフトは日本に馴染みそうもない。
という現状だとのこと。
 この著書は96年出版の本。テレビゲーム産業は市場の変化スピードが速く、予測のしにくい産業なのかもしれません。

■「テレビゲーム産業の現状」

 続いて、テレビゲーム産業の現状について、詳しくお話しいただきました。

 近年の国内市場の売り上げはハードのみならずソフトも低下傾向を示している。その一因は、ゲームソフトの品質だ。ゲームソフトはハードの高度化に伴って画像・音楽は高度化しているものの、ゲーム本来の面白さである「ゲーム性」がないものが増加しており、今後の市場成長にはゲーム本来の面白さ(=ゲーム性)を追求する優れたクリエーターの発掘・育成が不可欠だろう。
 この下りでは、GAPの研究テーマとしても扱っているゲーム本来の面白さを「ゲーム性」という言葉で言及し、「没入感」があることを重要な指標とされていました。
 また、クリエーターの発掘・育成については、GAPに期待を寄せていただいているようでした。
1(次ページへ続く)

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