第二回ゲームサロン 『ゲーム業界の動向とアーカイブの可能性』
講師 株式会社セガ・エンタープライゼス代表取締役副社長 広瀬禎彦氏
【t.suna】

 1998年8月25日に京都府主催によるゲームサロンの第二回目がひらかれました。  今回のゲストは、4月からセガ・エンタープライゼスの副社長をされている広瀬禎彦さんで、テーマは「ゲーム業界の動向とアーカイブの可能性」でした。

■「ラスベガスをお茶の間に」

 PS-SS-64の販売台数で 業界を議論するのは、ポルシェとフォルクスワーゲンの販売台数を比べるようなもので、ゲーム文化や産業を考えるうえで阻害になるだろうとおもっている。各社の特徴を見ないと意味がない。
 任天堂はカルタ・花札という「日本のゲーム文化」そのものから出てきていて、子供や家族にトランプやおもちゃ等「遊び」を提供するというところから発展させてきた。  プレステは、ソニーのラジオ-ウォークマン-といったAV家電の流れの上にうまれたもので、突き詰めて言えばソニーはハードメーカーであるがゆえに、プレステが何台売れたかが勝負どころになってくる。

 このあたり、任天堂が「あそび」の会社であるということは、このプロジェクトが始まって以来自分でもよく感じていることです。  それでは「セガ」は何者なのでしょうか。

 セガは、戦後米軍基地のクラブへのジュークボックスやピンボールの輸入業者からはじまった。
 夜のアミューズメントの場からスタートして、昼のゲーセン、そして家庭のコンシューマー機と発展してきた。
 そして、セガのターゲットは基本的にオトナのオトコなんですね、それもどちらかと言えばハードタイプの。 とにかくバーチャファイターが売りですし、ラリーやバーチャロンで盛り上がるわけです。
 あやうさ、危険な匂い、ハラハラどきどきするエンターテイメント、それがセガの来た道であり、寄って立つべき軸なのです。
 各社がそれぞれのフレーバーをもっていること、それが大切であって、でなければテレビゲームはプレステがあればすべて足りてしまうわけです。
 この軸を見失わないようにしてゲーセンからお茶の間までセガとしてひとつの雰囲気をつくりあげたい。
 『ラスベガスをお茶の間に』というわけです。

 家庭用ゲーム機だけでなく、ゲーセンもふくめてひとつのセガらしさを追及するというお話でした。
 参加者から当然のごとくドリームキャストで考えておられることを聞きたいとリクエストがでました。


■「ドリームキャストとテレビゲームの未来」

 ドリームキャストの特徴は、まずグラフィック能力の高さで、ポリゴンを活用すれば必要なことをすべてゲー
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