2005年6月18日(土)第26回GAP-Lab(学習会)
場所:立命館大学衣笠キャンパス アート・リサーチ・センター多目的ホール

■内容:LBEの最先端を追う 〜3つにエンターテイメントを分類した場合のLBE

■発表者(ゲスト):菅野聡之氏:株式会社セガ・エンタテンメント施設事業部施設開発統括部長


■1 自己紹介

■2 エンタテイメントの3分類

  1. ロケーションベースドエンターテイメント(LBE)
    場所を作って集客型施設 テーマパーク、キャバクラなど
  2. ホームベースドエンターテイメント
    パッケージ型コンテンツ 部屋の中で楽しむ ゲーム、ビデオ、CDなど
  3. モバイルベースドエンターテイメント
    ノンパッケージ型コンテンツ 携帯電話 テレマティクスなど

■3 ウォルトディズニーカンパニーの動向

■4 セガの国内施設開発戦略

セガ都市型エンタテイメントセンター:東京ジョイポリス1996年オープン。セガの代表的なLBE

■5 LBEその他事例紹介

■Q&A 

Q
子供向けという事になっているが大人も入っていたが子供がいないと入れないのか?

A
そうです

Q
私自身TDLでアルバイトをしていたが、従業員と客をキャスト、ゲストなどの呼び方をしていたが、アメリカのLBEの傾向として客が主役との認識に変わっているのでは?

A
お客様が主役だと労働集約性が高くなる。通常、売り上げ40%以上人件費に当てなければならない。顧客中心施設はのびるが、ビジネススキームが追いついてないのでは。TDLはとんでもない人数をかけてもやっている。現状ではパーソナライズと広いものの、二極化している。しかしながら顧客満足度は高いが事業が成り立たないというジレンマの繰り返しなのでは。

Q
標準的な施設では人件費は?

A
10数%では。ジョイポリスタイプは多少高い。子供たちから目を離さない必要がある、アルバイトに任せられない。

Q
これから先にセガがどの様に進むかを伺いましたが、既存のゲームセンターなど、コンピュータ筐体で満足し、家に移っているということで、LBEの必要性はLBEの始まったころと違うのでは?今後の変遷はどうなっていくのか?

A
東京と地方と大阪と違う。新宿渋谷上野秋葉原など地域特性が出ている。それらの地域はマニアが生息している地域。ビデオゲーム、大型カードゲーム、WCCFのみでなりたつ数少ない地域。共有空間を求めているし、自分たちでコミュニティを作る意識がある。 場所を提供させていただいているという意識がセガ。提供側は顧客の意識を考えて提供しなければならない。もちろんそういった前提が成り立たない地域もある。イオンのようにインストラクターをつける方法もある。セガとしてはカテゴリをかなり細分化して作っていくつもりである。

Q
映画、音楽を作っているものですが、セガ全体としてみた場合、LBE HBE MBEなどがあるが、ヴォリュームの割合を差し支えなければ教えていただきたい

A
LBEで半分 家庭用ゲームで半分 携帯は今後広がる。現在は家庭用に入れているが将来的には3割ずつにしたい。LBEは競合他社が少ない。ちゃんとやれば収入になる。しかしながら、家庭用ゲームは競合が多いなどで難しい

Q
LBEはディズニーがモデルになると思うが、ディズニーと比較してセガの資本規模などどうなのか

A
ディズニーは数兆円規模ですが、セガは4000億円程度です

Q
現在のセガのエンターテイメントのシナジー効果はどの程度?

A
現在は正直ほとんどないと思う。現実として会社の中では意識されてない。例えば、家庭用ゲームを作ってるクリエイターは業務用作れないなどの現状がある。業務用ゲームを作っているスーパースターは家庭用を作ってもヒットしない。そういった意味でもクリエイター同士の乗り入れが非常に難しい

Q
それではエンターテイメントの統合性が難しくなるのでは。LBEなどを中心にするなどの考え方ががあるのでは。

A
パッケージ型などはなくなるのではないか。ネットなどが中心になったり、場を中心にするのではないかと考えている。例えばみんなで会うのが楽しいなど。とにかく今までと全く違う産業、ドメインになると思う。個人的には家庭用ゲームは難しいと考えている。

Q
中国などで売れるオンラインゲームはLBEの側面が強いと考える。みんなで集まってやったり、ライブエンタテイメントなどのシナジーが成功した理由と考えている。それに対し、日本はHBEなどのものが中心だが、どうしたらうまくいくと考えるか

A
マージャンなどはネットワークに繋いだら反応が良くなった。店に来る人もコミュニケーションを求めてる。しかしながら、提供する側のここに巣窟を作るんだ、では出来ない。自由にやってください、という意識で、お手伝い感覚が良いのでは。

Q
カスタムゼーションの大枠として、ボトムアップな組織をどうマネジメントするかが重要なのでは。体感的には新しいエンタテイメントはどう切り開かれていくと考えられているのか。

A
われわれサイドから出てくるより、顧客サイドから出てくるのではないか。スタンスとしては場を提供するということでやっていく。実際やって、見て判断して、変更改良を加えるというスタイル。お客のマネジメントは難しいのではないかと考えている。本部の企画サイドはこんなのはどうだと出すが、顧客がやりたいスタイルをサポートするのが正解ではないか。

Q
LBEはプラットフォームビジネスになるのか

A
感覚的にはそれに近いと思う

Q
今のエンターテイメントの教科書を書き直さなくてはなりませんね。

A
そうですね。ムシキングなどもそうだと思います

Q
先ほど挙がった地域ではユーザー中心であるが、それ以外は?

A
こちらから仕掛ける必要もあるが顧客側に意図が見抜かれやすい。顧客が気づかなかったという点を出せればよい。

Q
大型カードゲームはプレイヤーから自動的なコミュニティーが出来るが、なぜ北海道を重視するのか。東京から北海道へいくのはなぜか。

A
意図的には特に考えていない。現場の人間はこちらから作ろうという発想は無理だという経験がある。

Q
ムシキングの話ですが、ロケーションというよりはモバイルのように思えたが、ローテクメディアから家に持ち帰る、などのLBEとHBE、MBEなどの連結になるのでは。分野的にHBEと見えているだけではないか。

A
その通りですね

■まとめ:

LBEはこちらから提供するのではなく、お客のニーズを観察して引き受けていくスタイルで進む。今後のエンタテイメント観察の絶好のフィールドになるのではないか。枠に閉じ込めていたものをLBEに結びつければ、全く新しいものに発展していくのではないかと考えている。

(以上)